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〜ロシア民謡・ロシア歌謡の世界〜 2012−II 開催レポート
2012年11月29日(木) 18:30開演(18:00開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 11月29日パウゼにて、日本・ロシア音楽家協会主催のコンサート『ロシア民謡・ロシア歌謡の世界』が開催されました。今回は、ロシア音楽のスペシャリストとしてご活躍されている10名の歌手が素晴らしい歌声を披露してくださいました。プログラムは以下の通りです。

1. 川畑久子さん(ソプラノ)、吉永哲道さん(ピアノ)
≪運命≫(クルィロフ詩/バイネス作曲)
≪満洲の丘に立ちて≫(マシストフ詩/シャトロフ作曲)

2. 肥田雅宏さん(バス・バリトン)、高野純子さん(ピアノ)
≪ヴォルガの舟歌≫(ロシア民謡)
≪道≫(オシャーニン詩/ノーヴィコフ作曲)

3. 高橋和美さん(ソプラノ)、児島絵美理さん(ピアノ)
≪歌に託して私の悩みを告げられるものなら≫(リーシン詩/マラーシキン作曲)
≪鶯≫(デリヴィーク詩/アリャビエフ作曲

4. 長井純子さん(メゾ・ソプラノ)、渡辺あけみさん(ピアノ)
≪赤いサラファン≫(ツィガーノフ詩/ヴァルラーモフ作曲)
≪モスクワ郊外の夕べ≫(マトゥソフスキー詩/ソロヴィヨフ=セドイ作曲

5. 天野加代子さん(メゾ・ソプラノ)、小坂幸代さん(ピアノ)
≪疲れた太陽≫(アリヴェク詩/ペテルブルグスキー作曲)
≪黒い瞳≫(グレビョンカ詩/ロシア・ジプシー歌謡)

6. 福成紀美子さん(ソプラノ)、岸 洋子さん(ピアノ)
≪青いプラトーク≫(マクシーモフ詩/ペテルブルグスキー作曲)
≪長井道を(悲しき天使)≫(ボドリェーフスキー詩/フォーミン作曲)

7. 筧聰子さん(メゾ・ソプラノ)、吉永哲道さん(ピアノ)
≪優しき口づけも消え≫(レーニン詩/レーニン作曲)
≪百万本のバラ≫(ヴォズネセンスキー詩/パウルス作曲)

8. 小原伸一さん(バス・バリトン)、渡辺あけみさん(ピアノ)
≪鐘は単調に鳴り響く≫(マカロフ詩/ロシア民謡)
≪島のかげから(ステンカ・ラージン)≫(サドフニコフ詩/ロシア民謡)

9. 小濱妙美さん(ソプラノ)、黒澤美雪さん(ピアノ)
≪咎めないで 私を≫(ロシア民謡)
≪なぜ私は貴方を知ったのでしょう≫(ロシア民謡)

10. 岸本 力さん(バス)、吉永哲道さん(ピアノ)
≪もえよ、もえよ私の星≫(チュエフスキー詩/ロシア・ジプシー歌謡)
≪2つのギター≫(グリゴーリエフ詩/ブラーホフ作曲)

 川畑さんは、輝きのある透き通った歌声で各曲をドラマティックに表現されていました。肥田さんは、遠近感が巧みにコントロールされた歌声を聴かせてくださいました。特に≪ヴォルガの舟歌≫において、この歌声が効果的に発揮され、迫力のある演奏を聴かせてくださいました。高橋さんは、1曲目では独唱でもって男女2役を見事に演じられ、2曲目では軽やかな美声が印象的でした。長井さんは、温かく、芯のある歌声で、伸びやかに歌われていました。天野さんは、女優が役を演じているかのように、歌詞の言葉一つ一つを情熱的に語りかけるように歌われていました。 

 福成さんは、歌詞の情景が思い浮かぶような演奏で、特に一曲目では戦いの最中、愛する人を思う気持ちが伝わってくるようでした。筧さんは、深みのある歌声で、恋愛の複雑な感情や痛みが鮮明に表わされていました。続いて小原さんです。一曲目では、深い静寂が表現され、2曲目では豪快な歌声を聴かせてくださいました。小濱さんは、豊な歌声で、歌詞に込められた痛々しいほどまでの切ない感情を巧みに表現されていました。岸本さんは、俳優のような臨場感のあるドラマティックな表現が印象的でした。

 最後に、岸本さんがご挨拶をされた後、出演者全員と会場の皆様で≪カチューシャ≫を歌い、和やかに締めくくられました。

 あらゆる特徴を持った民謡や歌謡曲を聴くことで、ロシアの様々な側面に触れることができた、大変貴重なコンサートでした。

(K.S)

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